心と体

言葉は認知されても受け入れはまだまだ――「性同一性障害」意識調査

時事ドットコム:言葉知られても受け入れ進まず=「性同一性障害」で意識調査

 体の性と心の性が一致しない「性同一性障害」について、言葉はほとんどの人が知っているものの、受け入れる社会になっていると考える人は3人に1人程度にすぎないことが8日、理解促進活動を行っている「『GID(性同一性障害)シンポジウム2009』実行委員会」が実施したアンケートで分かった。

 アンケートは、一定要件を満たせば戸籍の性別を変更できる性同一性障害特例法が施行されて7月で5年となったことから、一般の認識の変化などを調べるため、全国の男女1038人を対象にインターネットを通じて行った。最高裁によると、2007年度末までに性別変更が認められたのは841件。

 アンケートによると、「性同一性障害」という言葉について、「知っている」と回答したのは85.2%。「なんとなく聞いたことがある」を合わせると99.5%に上った。どのような病気かについても「知っている」と「およそ知っている」の合計は96.6%に達した。

 一方、「現在の社会が当事者を受け入れる社会になっていると思うか」との問いに「なっている」としたのはわずか0.7%。「ある程度」を合わせても36.3%にとどまった。

 「友人・知人」または「家族」が性同一性障害だった場合、事実をオープンにできるかでは、「できない」「おそらくできない」としたのは友人・知人の場合39.6%。家族では66.5%となった。(2009/08/08-05:27)
 うーん。

 この意識調査の詳細は、「GID(性同一性障害)シンポジウム2009」に掲載されています。

 結局は、「他人事」なんですよね。

 私自身は身近な人が当事者であることもあって意識するようになりましたけど、この結果というか、この記事に違和感を感じました。

 要するに、性同一性「障害」という言葉に問題があると思うんですけど……。

 このことに関して、最近、別にもショックなことがありまして。

 私は最近、Twitterで何人かの政治家の人をフォローしていますけど、先日、民主党の松浦大悟参議院議員から、こんな発言があって驚きました。
未成年の子供がいても性別変更を認めるよう先輩議員が自民党と交渉をしていたのですが、担当者の南野元法務大臣になんて言われたと思います?「そんなことをすれば、家族が壊れてしまうじゃないの!」。結局、性同一性障害は福祉の分野の話であり、人権問題とは考えられてこなかった証拠だと思います。
先輩も子の福祉に反するわけではないと南野元大臣に説明したのですが理解してもらえず「あんた、最初からの性同一性障害の担当なのに何もわかってないじゃないか!」と怒ったそうです。すると南野さん、「○○さんって怖いわ〜お代官みたいだわ〜」と言いながら去っていったとか。
 うーん。

 あくまでこれは伝聞ですから何とも言えないのですが、元法務大臣の南野知惠子参議院議員と言えば、性同一性障害者性別取扱特例法の成立に尽力した人ですよね。『【解説】性同一性障害者性別取扱特例法』(2004年、日本加除出版、3,465円税込)の監修もされていたり。

 この人にして、こういう反応をするとは……

 見直しが進まないはずです。

 また、松浦大悟参議院議員のTwitterでは、
ちなみに、民主党政策集 INDEX2009では「性同一性障がい者の人権を尊重」という項目があり、<性同一性障害者特例法をさらに見直し、未成年の子どもがいても性別の変更が出来るようにします。>と書かれています。斎藤さんが読んだマニュフェストは2007年のものでしたね。
といった発言もあったので、各党のマニフェスト(Webに掲載されているものですが)を見てみました。



  • 自由民主党
    • 特に記載なし
  • 公明党
    • 特に記載なし
  • 民主党
    • 性同一性障がい者の人権を尊重

      性同一性障害者特例法をさらに見直し、未成年の子どもがいても性別の変更ができるようにします。

      「心の性」と「体の性」の不一致に苦しむ性同一性障がい者について、一定の条件で戸籍法の「性別記載」の訂正を認める特例法が2003年に全会一致で成立し、2008年には子のいる者についても子が成年に達している場合には性別変更が認められるよう法改正されました。しかし当事者や有識者からは、未成年の子がいる場合でも性別変更を認めるべきとの声が根強く、改正附則の検討条項に従って一層の見直しを進めるべきであると考えます。
    • 民主党の政権政策Manifesto2009」には見当たらず。
  • 日本共産党
    • 特に記載なし
  • 国民新党
    • 特に記載なし
  • 新党大地
    • 特に記載なし
  • 新党日本
    • 特に記載なし
  • みんなの党
    • 特に記載なし
  • 幸福実現党
    • 特に記載なし


 こうやってみると、民主党も、「民主党政策集INDEX2009」の中には確かに「性同一性障がい者の人権を尊重」という項目があるのですが、選挙に対応して出している「民主党の政権政策Manifesto2009」には見当たらないようで。

 選挙の争点にはならないという判断なんでしょうね。

 まあ、意識が低いようですから仕方がないというか……

 なんか釈然としないですね。

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性別適合手術の中核病院が中止へ――特例法見直しに影響あるか

性転換手術、中核病院が中止 埼玉医大、担当医定年で

 心と体の性が一致しないことで苦しむ性同一性障害(GID)の治療の中核を担ってきた埼玉医科大学が5月から性転換手術(性別適合手術)の実施を中止したことが明らかになった。形成外科の教授の退職で手術の態勢がとれなくなったという。この手術は患者が戸籍上の性別を変える場合に必要とされる。GIDはようやく社会的に認知されてきたが、約1万人といわれる患者の治療の最終手段が断たれる懸念が出ている。(asahi.com)

 確かに、中心となる執刀医が定年で辞められてしまえば、チームとして対応するのが難しくなる、というのはよく分かります。しかし、これは由由しき問題です。

 一般の人からすると、性同一性障害(GID)なんてのはごくごく小さなマイノリティであって、自分たち大多数にとっては関係ない問題だ――そう思っていることでしょう。私だって、身近に当事者がいなければ、そうだったかもしれません。

 しかし、少なからずいる当事者にとって、この社会は生きにくいところがあります。

 その状態から救おうというのが、全会一致で可決され、2003年7月16日に公布、翌2004年7月16日に施行された「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(性同一性障害特例法)です。

 しかし、この法律にはいろいろな制限があります。その条件の一つが、「性別適合手術を受けていること」なのです。

 といっても、国内で性別適合手術ができる病院は多くありません。その内の一つ、しかも中核的な病院が、できなくなってしまうということはかなり大きなことです。ただでさえもリスクが多い手術ですから、出来るのならばケアもしやすい国内で手術を受けるのがいいわけで、その選択肢が減ることは問題なのです。この特例法では、「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。」として性別適合手術を行っていることを条件としているにもかかわらず、これができる場所が少ないという現状はどうでしょうか。

 そこで、実際の手術は海外へ渡航して行う人が多いのです。しかし、それはリスクがあるし、誰もができることではありません。そもそも、手術にしても、身体の状態によっては手術できないケースもあります。さらに、保険も効かないために莫大な費用がかかります。

 この特例法には、附則として「性別の取扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲その他性別の取扱いの変更の審判の制度については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。」と記されています。

 奇しくもちょうど、今年は施行から3年目です。どうも、憲法改正などが目立ってしまっていますが、ぜひ、特例法の見直しをしてもらい、緩和をしてもらいたいものだと思います。

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